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警備業の新任教育と初出勤までに人が消える理由

迎える定着・早期離職

2026年8月26日|はやぶさ採用編集部

面接に受かって「よろしくお願いします」と言っていた人が、新任教育の初日に来ない。教育は修了したのに、初出勤の前に連絡が取れなくなる——。警備業の採用では、内定のあとにも人が消えるポイントが続きます。せっかくお金と手間をかけて採用した人です。最後の数日で失うのは、いちばんもったいない負け方です。

しかも、この「内定後にいなくなる問題」は、求人広告を増やしても解決しません。原因が募集のやり方ではなく、内定から初出勤までの過ごし方にあるからです。この記事では、なぜ内定のあとに人が消えるのかを3つの理由に分けて説明し、今日から始められるつなぎ方を、連絡の段取り表つきで紹介します。

この記事の要点
  • 内定から初出勤までは、応募者にとって「まだ働いてもいない、給料も出ていない」宙ぶらりんの期間。放置すれば他社に流れます
  • 消える理由は「不安」「生活」「他社」の3つ。とくにお金の不安が見落とされがちです
  • いちばん効く対策は、連絡を切らさないこと。内定の日に次の連絡を約束し、前日のひと声を決まりごとにします
  • 新任教育の中身を1枚の紙で先に見せるだけで、不安は大きく減ります

内定から初出勤までは「空白の1〜2週間」

警備の仕事は、面接に受かった翌日から現場に立てるわけではありません。警備業法にもとづく新任教育を受けてから現場に出るのが原則とされています。そのため内定のあとには、教育日程の調整、制服の準備、必要書類の提出といった段取りが続き、内定から初出勤まで1〜2週間ほど空くのがふつうです。

会社側から見れば、これは当たり前の「準備期間」です。しかし応募者から見ると、まだ働いてもいないし、給料も出ていない。宙ぶらりんの期間です。マイナビの転職動向調査2024年版によると、求職者は平均8.8社に応募しています。つまりこの空白の間にも、他社の選考結果や「明日から来られますか」という誘いは続いているのです。応募者は義理で待ってくれるわけではありません。生活がかかっているのですから、条件のよい話が先に届けば、そちらへ行くのが自然です。

身近な例でいえば、お店で品物を注文して「入荷したら連絡します」と言われたきり、1週間なんの音沙汰もない状態に似ています。客は「注文が通っていないのでは」と不安になり、別の店で買ってしまう。応募者も同じです。連絡がない1週間は、応募者にとって「忘れられているのでは」と不安になる1週間です。

1人を採用するまでには、広告費も、面接の手間もかかっています(採用にかかるお金の考え方は警備員の採用単価の計算と下げ方で説明しています)。最後の1〜2週間で人を失うのは、そこまでの投資を丸ごと捨てるのと同じことです。

消える理由は「不安」「生活」「他社」の3つ

初出勤までに人が消える3つの理由
不安
教育で何をやるのか、自分に務まるのか分からない
生活
初給料までの生活費が持たない・日程が生活と合わない
他社
先に働き始められる会社に流れる

不安:「教育」という言葉に構えてしまう

1つ目は不安です。「新任教育」と聞くと、学校の授業のようなものを想像して身構える方が少なくありません。何日間あるのか、座って話を聞くだけなのか、テストで落とされたりしないか。中身が見えないものは、実際より大きく見えます。とくに久しぶりに働く方や、勉強から長く離れていた方ほど、この不安は重くなります。

生活:初給料までの1か月が長い

2つ目は生活、つまりお金の問題です。ここがいちばん見落とされがちです。いま無職の方にとって、教育期間を含めて初給料まで1か月待つのは簡単ではありません。教育手当が出ること、週払いや前払いの制度があるなら、内定のときにはっきり伝えましょう。

他社:早く働けて、早くお金になる方へ流れる

3つ目は他社です。応募者は何社も同時に受けています。条件が大きく変わらなければ、「早く働き始められて、早くお金が入る」会社が選ばれます。比べられている相手は同業の警備会社だけではありません。明日から入れる軽作業の仕事なども、応募者の選択肢に並んでいます。空白期間が長い会社は、それだけで不利なのです。

お金の不安は内定の日に先回りして消す

3つの理由のうち、会社側の工夫でいちばん確実に消せるのがお金の不安です。内定を出す日に、次の3つを必ず伝えてください。

①教育期間中に手当が出るのか、出るならいくらか。②初めての給料はいつ支払われるのか。③週払いや前払いの制度があるのか、ないのか。この3つです。どれも会社にとっては決まりきった話ですが、応募者にとっては、この仕事で食べていけるかどうかを左右する話です。

例えば、月末締め・翌月払いの会社なら、月の初めに教育を受け始めた人の初給料は、働き始めてから1か月以上先になることもあります。会社にとっては当たり前の給与の仕組みでも、手元のお金が心細い人にとっては死活問題です。

大事なのは、応募者からは聞きにくい話だ、ということです。「お金のことばかり聞くと印象が悪くなるのでは」と考えて、多くの人は質問を飲み込みます。そして不安を抱えたまま帰り、連絡が取れなくなる。だからこそ、会社の側から先に、紙に書いて渡すのです。口頭だけでは聞き逃しますし、家に帰ってから家族に説明もできません。教育日程と一緒に、手当と給料日を1枚にまとめて渡しましょう。

つなぎ方の基本は「次の連絡」を約束すること

いちばん効く対策は単純で、連絡を切らさないことです。内定を出したその場で、新任教育の日程・場所・持ち物・手当を書面やSMSで渡し、「前日にもご連絡しますね」と次の連絡を約束する。教育の前日にひと声、初出勤の前日にもうひと声。これだけで「忘れられている不安」は消えます。

ポイントは、連絡を思いつきでやらず、決まった段取りにしておくことです。誰が採用担当でも同じ動きになるよう、次のような表にして貼っておきましょう。

内定から初出勤までの連絡の段取り(例)
内定当日
教育の日程・場所・持ち物・手当・給料日を書面かSMSで渡す。「前日にまた連絡します」と約束する
教育の前日
「明日お待ちしています」のひと声。集合時間と持ち物をもう一度伝える
教育初日の帰り
「今日はお疲れさまでした」。次の日程を確認し、困りごとがないか聞く
初出勤の前日
集合場所・時間・服装をもう一度。現場で迎える人の名前も伝える
初出勤の当日
現場の責任者が名前で迎える。帰りに「明日も待っています」のひと声

連絡の手段は、電話とSMSやLINEの併用がおすすめです。文字の連絡は記録が残り、あとから何度でも見返せます。声の連絡は「待っている」という温度が伝わります。若い応募者ほど知らない番号の電話には出ないので、文字を先に送り、電話を後にすると届きやすくなります(くわしくは警備員の採用でLINEを使う方法で説明しています)。

「そこまでやるのか」と思われるかもしれません。しかし、私たちの親会社の警備会社では、対策を打つ前、面接の約束をした人の約4割が当日に来ませんでした。面接ですらそうなのです。内定を出したから安心、とはなりません。面接当日の不参加対策と考え方は同じです。くわしくは警備員の面接ドタキャンを減らす方法もどうぞ。

新任教育を「不安の種」から「安心の入口」に変える

連絡と並んでもう1つ効くのが、教育の中身を先に見せることです。おすすめは「教育のしおり」を1枚作ることです。何日間あるのか、それぞれの日に何をやるのか、服装は何がよいか、昼食はどうするのか、筆記用具は要るのか。やさしい言葉で書いて、内定の日に渡します。

あわせて、「教育はふるい落とすためのものではなく、安全に働いてもらうための準備です」と書き添えてください。この一文があるだけで、テストに落ちるのではという身構えがほどけます。中身が見えれば、教育は不安の種ではなく「ここまで丁寧に迎えてくれる会社なのか」という安心の材料に変わります。

教育初日には、社長や責任者がひと声かけてください。「よく来てくれました。分からないことは何でも聞いてください」。それだけで十分です。昼休みに1人で放っておかない、初出勤の現場には教育で顔を合わせた先輩がいるようにする、といった小さな段取りも効きます。人は仕事の内容より先に、「ここに自分の居場所があるか」を見ています。

なお、初出勤はゴールではありません。入って1か月の過ごし方で定着は大きく変わります。その先の話は警備員が1か月で辞める会社の共通点で詳しく説明しています。

よくある質問

Q. 内定から教育まで2週間も空いてしまいます。空きすぎでしょうか。

A. 空くこと自体は、教育日程の都合上やむを得ないことも多いです。問題は空くことではなく、空白の間に連絡がないことです。2週間空くなら、その間に2回は連絡の機会を入れてください。書類の確認でも、制服の件でも、用件は何でも構いません。「あなたの入社を準備して待っています」と伝わることが目的です。

Q. 何度も連絡すると、しつこいと思われませんか。

A. 用件のある連絡は、しつこいとは受け取られにくいものです。日程の確認、持ち物の案内、前日のひと声は、すべて相手のための連絡です。逆に、連絡がまったくないほうが「この会社は大丈夫か」と不信につながります。迷ったら、自分が新しい職場に入る前の気持ちを思い出してみてください。

Q. 教育手当はいくら払えばよいですか。

A. 金額は会社の事情によるので、ここで相場は示せません。ただ、応募者の立場でいちばん困るのは、金額の多い少ないよりも「出るのか出ないのか、いつもらえるのかが分からない」ことです。まずは自社の決まりをはっきりさせ、内定の日に紙で伝えることから始めてください。

Q. 電話とSMSやLINE、どちらで連絡すべきですか。

A. 両方を使い分けるのがおすすめです。日程や持ち物など、あとで見返す情報は文字で。前日のひと声など、気持ちを伝えたい場面は声で。先に文字を送ってから電話をかけると、知らない番号でも出てもらいやすくなります。

Q. 教育の日程は、どう決めるのが親切ですか。

A. 内定の場で、応募者の予定を聞きながら一緒に決めるのが親切です。会社の都合だけで日程を通知すると、家庭の用事や通院と重なっても、応募者は言い出せずに黙って来なくなることがあります。「ご都合の悪い日はありますか」とひと言聞くだけで、無理のない日程が組めますし、「こちらの事情も考えてくれる会社だ」という印象にもつながります。

Q. それでも来なかった人には、どうすればよいですか。

A. 責めずに、一度だけ連絡してください。「ご事情が変わりましたか。もしまた機会があればご連絡ください」で十分です。事情が変われば戻ってくる人もいます。そして、来なかった理由をできる範囲で記録しておきましょう。お金なのか、日程なのか、他社なのか。理由が積み重なると、自社の直すべき場所が見えてきます。

まとめ:内定は中継地点、初出勤までを仕組みで守る

内定はゴールではなく、初出勤までの中継地点です。①お金と日程の不安は、内定の日に先回りして解消する。②前日のひと声を決まりごとにして、連絡を切らさない。③教育の中身を1枚のしおりで先に見せる。この3つを、担当者の気配りまかせにせず、会社の仕組みにしてしまうことが大事です。

次の一歩としては、いま使っている内定通知の文面を開いて、「教育日程・持ち物・手当と給料日・次に連絡する日」の4つが入っているかを確かめてください。足りないものを書き足すだけで、明日の内定者から効果があります。採用の最後の詰めこそ、仕組みで守りましょう。

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