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面接に来た人を逃さない「その場で内定」の作法

決める面接

2026年8月26日|はやぶさ採用編集部

面接が終わって「結果は後日ご連絡します」。丁寧に聞こえるこの一言が、警備採用では命取りになります。マイナビの転職動向調査2024年版によると、求職者は平均8.8社に応募し、平均3.6社の面接を受けています。つまり、あなたの目の前に座っている応募者は、ほぼ確実に他社とも会っています。あなたが社内確認をしている数日の間に、他社は内定を出しています。

この記事では、応募者を逃さないための「その場で内定」の考え方と、それを可能にする準備、面接当日の進め方、そして迷ったときの保留の作法までを順番に説明します。読み終わったら、次の面接からすぐに使えるはずです。

この記事の要点
  • 求職者は平均8.8社に応募している。「後日連絡」の数日間で他社に決まる
  • 「その場で内定」は雑な採用ではなく、準備がある会社にしかできない採用
  • 準備は3つ。採用基準を紙にする・条件を用意する・決裁を面接官に渡す
  • 迷ったら保留でいい。ただし理由と期限を必ず言葉にして伝える

なぜ「後日ご連絡します」で人が逃げるのか

まず、応募者の側から採用を眺めてみましょう。マイナビの転職動向調査2024年版では、転職者は平均8.8社に応募しています。応募者にとって、あなたの会社は「たくさん出した応募先のひとつ」です。悪気があるわけではありません。生活がかかっているから、決まりそうなところから決めていく。それだけのことです。

魚屋の店先を思い浮かべてください。目の前のお客さんに「値段は後日お知らせします」と言ったら、お客さんは隣の店で買って帰ります。採用も同じです。面接に来た時点が、応募者の気持ちがいちばん温まっている瞬間です。そこで「後日」と言うのは、いちばん買う気のあるお客さんを、わざわざ隣の店に案内するようなものです。

応募者の熱が冷める速さは、数字にも表れています。私たちの親会社の警備会社では、対策をする前、面接の約束をした人の約4割が当日に現れませんでした。応募から面接までのわずかな日数でさえ、これだけの人が消えていきます。面接から内定連絡までの数日が、どれほど危険な空白かが分かると思います。だからこそ親会社では、応募から13分で最初の電話をかける体制を作りました。連絡の速さが結果を変えることは、応募が面接につながらない会社の共通点でも詳しく書いています。

面接まで来てくれた人は、その入口の関門をくぐり抜けてくれた貴重な人です。最後の最後で「後日連絡」の空白を作ってしまうのは、あまりにもったいないのです。

「その場で内定」は雑な採用ではない

その場で内定と聞くと、誰でも採る雑な採用に聞こえるかもしれません。実際は逆で、事前の準備がある会社にしかできないやり方です。採用基準が言葉になっていて、面接で確認することが決まっていて、条件が整理されている。だからその場で判断できる。準備なしの「なんとなく採用」とは別物です。

考えてみると、「後日ご連絡します」の後日に何をしているでしょうか。多くの会社では、面接の印象を思い出しながら「どうしようか」と社内で相談しています。つまり、面接が終わってから採用基準を作っているのです。基準が先に決まっていれば、この時間はそもそも要りません。判断が遅い会社は、慎重なのではなく、準備をしていないだけ。そう言われると耳が痛いかもしれませんが、裏を返せば、準備さえすれば明日からでも変えられるということです。

もうひとつ大事なことがあります。その場で内定を出すことと、見極めを甘くすることは別の話です。基準を満たさない人には出さなくていい。むしろ基準が紙になっている分、面接官の気分や印象に左右されず、見極めの質は安定します。速さと質は、準備によって両立できるのです。

その場で出すための3つの準備

「その場で内定」の準備リスト
採用基準を紙にする
「これがOKなら採用」を面接前に決めておく
条件を用意する
時給・現場・初出勤日の候補・教育日程をその場で示せる状態に
決裁を面接官に渡す
「社長に聞かないと分からない」を無くす

準備1:採用基準を紙にする

「これを満たしたら採用する」という条件を、面接の前に紙に書き出します。こつは、絶対に必要な条件あれば嬉しい条件を分けることです。例えば、絶対条件は「夜勤に入れる」「決められた現場に自力で通える」「受け答えが落ち着いている」の3つ。あれば嬉しい条件は「経験者」「資格保有」。こう分けておけば、絶対条件がそろった時点で「採用」と判断できます。あれば嬉しい条件が欠けていることを理由に迷う必要はなくなります。

基準は立派なものでなくて構いません。手書きのメモ1枚で十分です。大事なのは、面接が始まる前に決まっていること。それだけです。

準備2:条件をその場で示せる状態にする

応募者が知りたいのは「いくらで、どこで、いつから働けるか」です。時給、想定している現場、シフトの組み方、初出勤日の候補、法定研修(新任教育)の日程。これを1枚の紙にまとめて、面接の場で見せられるようにしておきます。「詳しい条件は追ってご連絡します」と言った瞬間、話はまた後日に流れてしまいます。紙を挟んで具体的な話ができると、応募者の頭の中に「この会社で働く自分」の絵が浮かびます。この絵が浮かんだ人は、辞退しにくくなります。

準備3:決裁を面接官に渡す

面接をするのが社長本人なら問題ありません。しかし現場の隊長や事務の担当者が面接する場合、「採用の判断は社長に聞かないと分からない」となった時点で、その場で内定は出せません。そこで、基準を満たしたら面接官の判断で内定を伝えてよいと、あらかじめ権限を渡しておきます。基準が紙になっていれば、渡すのは怖くありません。面接官は基準と照らし合わせるだけだからです。逆に迷った場合は無理に出さず、保留の手順(後述)に回す。この線引きも一緒に決めておきましょう。

面接当日の流れを5つの手順にする

準備がそろったら、当日の流れはこうなります。

手順1:面接前に基準シートを見直す。始まる前の1分で、絶対条件を頭に入れ直します。面接中に「あれ、何を確認するんだったか」とならないためです。

手順2:面接では確認に徹する。雑談で人柄を見つつ、絶対条件を1つずつ確認していきます。聞いてよいこと・いけないことの整理は、厚生労働省が示す「公正な採用選考」の考え方が土台になります。本籍や家族の職業など、仕事の適性と関係のないことは聞かないのが原則とされています。

手順3:基準を満たしたら、その場で意思を伝える。言い方は難しく考えなくて大丈夫です。「ぜひ一緒に働いていただきたいです。このあとの手続きを進めさせてください」。これだけで、応募者の中であなたの会社は「決まりそうな会社」の一番手になります。

手順4:次の日程をその場で決める。必要書類の案内、提出日、新任教育の日程、初出勤日の候補。ここまでその場で決めて、手帳に書いてもらいます。日程が入った瞬間、他社の面接よりあなたの会社の予定が先に立ちます。

手順5:当日中にお礼の連絡を送る。帰宅した頃を見計らって、LINEやSMSで「本日はありがとうございました。次回は〇日にお待ちしています」と一言送ります。電話よりも気軽に受け取れて、記録も残ります。連絡手段の作り方は警備会社の採用にLINEを使う方法で詳しく説明しています。

なお、警備業には法律上の確認手続きがあるため、正式な雇用はその完了が前提です。その場で伝えるのは「ぜひ一緒に働きたいです。手続きを進めましょう」という意思表示と次の日程。ここまでで十分、他社より一歩先に出られます。伝えるときも「所定の手続きが済み次第、正式なご案内になります」と一言添えておけば、行き違いを防げます。

迷ったときは「保留の理由」を言葉にする

全員にその場で出す必要はありません。迷うなら保留でいい。ただし「何が引っかかったのか」を言葉にして、いつまでに連絡するかを本人に伝えること。期限のない「後日連絡」は、辞退の待ち行列に並ぶのと同じです。

引っかかりを言葉にすると、例えばこうなります。「夜勤に入れるかどうかの返事がもらえなかった」「通勤手段がまだ決まっていない」「配属を予定している現場の空きを確認したい」。言葉になれば、確認すべきことがはっきりします。確認に必要な日数も見積もれます。だから期限が切れるのです。

伝え方の例です。「配属先の調整だけ確認させてください。あさっての夕方までに、こちらからお電話します」。理由と期限がセットになっていれば、応募者は「ちゃんと検討してくれている」と受け取ります。何も言わずに「後日ご連絡します」とだけ言われた場合とでは、待っている間の気持ちがまるで違います。

「後日連絡」と「その場の返事」はここが違う
期限のない後日連絡
理由も期限も伝えない。応募者は待たされていると感じ、他社に決まっていく
その場の意思表示
基準を満たしたら当日に伝え、次の日程まで決める。他社より一歩先に出る
理由と期限つきの保留
引っかかりを言葉にし、いつまでに返事するかを約束する。信頼は落ちない

そして、約束した期限は必ず守ってください。守れなかった時点で、その場で内定を出す会社との差は開くばかりです。

よくある質問

Q. その場で内定を出して、あとから問題が見つかったらどうするのですか?

警備業では、法律で定められた確認手続きが済んでからが正式な雇用です。面接の場で伝えるのはあくまで「一緒に働きたい」という意思表示であり、「所定の手続きが完了することが前提です」と一言添えておけば、万一のときの行き違いは防げます。書類や手続きの案内を丁寧にすること自体が、会社への信頼にもつながります。

Q. その場で出すようにすると、採用の質が下がりませんか?

下がりません。出すのは、紙に書いた基準を満たした人だけだからです。むしろ「なんとなく良さそうだったから」で決めていた頃より、判断の根拠がはっきりする分、質は安定します。速くなるのは判断を伝えるまでの時間であって、判断そのものを甘くするわけではありません。

Q. 面接の場で給与の交渉をされたら、どう答えればいいですか?

準備2で作った条件表の範囲内なら、その場で答えて構いません。範囲を超える希望が出たら、無理にその場で決めず、理由と期限をつけた保留に切り替えます。「その条件はこの場で決められないので、〇日までにお返事します」で十分です。条件表という線引きがあるからこそ、その場で答えてよいことと持ち帰ることを迷わず分けられます。

Q. 面接官が社長ではなく現場の隊長でも、その場で内定を出せますか?

出せます。そのための準備3(決裁を渡す)です。基準シートと条件表がそろっていれば、面接官がやることは照合と説明だけです。迷ったら出さずに保留へ回す、という逃げ道も一緒に渡しておけば、面接官の負担も重くなりません。

Q. その場で内定を出しても、辞退されることがあります。なぜですか?

多くの場合、内定を出したあとの空白が原因です。内定から初出勤日までの間に連絡がないと、応募者の熱は再び冷めていきます。手順5のお礼の連絡に加えて、初出勤の前日にも「明日お待ちしています」と一言送りましょう。内定はゴールではなく、初出勤までの連絡リレーの始まりです。

まとめ

「その場で内定」は、応募者を逃さないための小手先のわざではありません。採用基準を紙にする、条件を示せるようにする、決裁を面接官に渡す。この3つの準備をした会社だけが手にできる、いちばん誠実で、いちばん速い返事の仕方です。迷ったときも、理由と期限を言葉にして保留すれば、信頼は落ちません。

スピードは準備から生まれます。まずは次の面接の前に、絶対条件を3つ、紙に書き出すところから始めてください。面接で見るポイントは警備員の面接で見るべきことと、聞いてはいけないこと、来てもらう工夫は警備員の面接ドタキャンを減らす方法をどうぞ。

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