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採用管理をエクセルでやる限界と記録のはじめ方

落とさない記録・管理お金をかけずにできる

2026年8月26日|はやぶさ採用編集部

「応募者の管理はエクセルで十分」。社員数十名の警備会社なら、たしかにエクセルでも回ります。ただ、回ることと、採用がうまくいくことは別です。私たちが採用のご相談を受けるとき、最初にお願いするのは「これまでの応募者の記録を見せてください」——ここで手が止まる会社がとても多いのです。

記録が出てこない会社に共通するのは、「応募は来ているはずなのに、なぜか人が増えない」という悩みです。原因を探ろうにも、去年どの求人からいくら応募が来て、そのうち何人が面接に来たのか、誰も正確には答えられません。これでは、勘と記憶だけで採用をやっているのと同じです。

この記事では、エクセル管理の本当の限界がどこにあるのか、そして今日から始められる「1人1行・5つの日付」という一番かんたんな記録のやり方を、順を追って説明します。

この記事の要点
  • エクセルの限界は入力の手間ではなく、「先月の数字にすぐ答えられないこと」
  • 記録は「1人1行・5つの日付」だけで十分。凝った表は要らない
  • 日付が空欄になった場所が、あなたの会社が人を落としている場所
  • 道具を変えるのは、記録の習慣がついてから。順番を逆にしない

エクセル管理の本当の限界は「振り返れないこと」

エクセルの限界というと、「行が増えて探しにくい」「入力が面倒」といった話を思い浮かべるかもしれません。しかし、本当の限界はそこではありません。「先月、何人応募が来て、何人と電話がつながり、何人が面接に来て、何人採用できたか」にすぐ答えられないことです。

多くの会社のエクセルは、応募者の名前と電話番号を書き留めた「連絡帳」になっています。連絡帳としては立派に働いていますが、月をまたいで数字を振り返るための道具にはなっていません。この数字が見えないと、応募が少ないのか、電話がつながっていないのか、面接に来ていないのか——どこを直せばいいのかが分からないのです。

採用がうまい会社とそうでない会社の差は、実はここにあります。うまい会社は特別な道具を使っているのではなく、「どこで人が消えたか」を毎月見て、消えた場所だけを直しています。悪い場所さえ分かれば、手の打ちようはいくらでもあります。逆に、場所が分からないまま「求人の文面を変えてみる」「媒体を変えてみる」と手当たり次第に動くと、お金と時間ばかりが減っていきます。

記録がないと起きる、三つの損

「記録なんて、なくても困っていない」と感じるかもしれません。しかし記録がない会社は、気づかないうちに三つの損をしています。

損その一:広告費のかけ先を間違え続ける

どの求人から来た人が実際に採用まで残ったのかが分からないと、「応募の数が多い媒体」にお金をかけ続けてしまいます。応募は多いのに一人も採用に至っていない媒体と、応募は少ないのに着実に採用につながっている媒体。この二つは、記録がなければ見分けられません。応募の数ではなく「採用まで残った数」で媒体を選べるようになるのが、記録の一番大きな効き目です。

損その二:同じ場所で人を落とし続ける

電話がつながらない時間帯にばかり折り返しをかけていた。面接日をつい1週間以上先に設定していた。こうした自分たちの「クセ」は、記録を見返して初めて気づけるものです。記録がないと、原因に気づかないまま、毎月同じ場所で人を落とし続けます。

損その三:担当者が辞めたら、経験ごと消える

応募対応の勘どころが担当者の頭の中にしかない会社は、その人が退職した瞬間に、採用の力がふりだしに戻ります。「あの人がいた頃は採れていたのに」という話は、たいていこれが原因です。記録は数字を見るためだけでなく、会社に経験を残すための道具でもあります。

最低限これだけ:1人1行・5つの日付

では、何を記録すればいいのか。答えはとても短いです。応募者1人につき1行。書くのは次の5つの日付と、どの求人から来たか。それだけです。

応募者1人につき、この5つの日付を残す
① 応募日
② 電話がつながった日
③ 面接日
④ 内定日
⑤ 初出勤日

※日付が入らなかった欄が「人を落とした場所」

凝った管理表は要りません。関数も、色分けも、入力規則も不要です。エクセルが苦手なら、ノートに線を引いて手書きでも構いません。大事なのは形式ではなく、全員分を、同じ形で、抜けなく残すことです。

列の並びは、左から「名前・どの求人から来たか・①〜⑤の日付」の順にしておくと見やすくなります。余裕があれば一番右に備考の欄を作り、「電話3回不通」「面接当日に連絡なし」のように、消えた理由をひとこと書いておきましょう。月末に振り返るとき、この一言が原因さがしの大きな手がかりになります。ただし、備考が書けない日があっても気にしないでください。日付さえ入っていれば、表としての役目は果たせます。

これを続けると、月末に「10人応募、電話がつながったのは6人、面接に来たのは3人、採用は1人」という形で、どこで人が消えているかが数字で見えてきます。私たちの親会社の警備会社では、この記録を土台に応募から13分で初回電話をかける体制を作り、採用単価を約30万円から約3〜4万円まで下げて、月6名の採用を続けています。派手な打ち手に見えますが、出発点はこの地味な記録でした。記録がなければ、「電話の速さが勝負を分けている」という事実そのものに気づけなかったはずです。

数字の読み方:空欄の場所が、直す場所

月末に表を眺めるとき、見るのは埋まった欄ではなく「空欄」です。日付が入らなかった欄こそが、人を落とした場所だからです。順番に見ていきましょう。

①はあるのに②が空欄なら:応募対応の問題

応募は来ているのに、電話がつながっていません。折り返しが翌日になっている、夜間や休日の応募を放置している、といった原因が考えられます。応募者は、あなたの会社だけに応募しているわけではありません。マイナビの「転職動向調査2024年版」によると、転職した人は平均8.8社に応募し、実際に面接を受けたのは平均3.6社。応募先の半分以上とは、面接すらせずに終わっている計算です。連絡の遅い会社から順に、候補から静かに外れていきます。応募電話への出方は応募電話に出られないことの損で詳しく書いています。

②はあるのに③が空欄なら:面接までの持っていき方の問題

電話はつながったのに、面接の約束まで進んでいない。あるいは約束はしたのに、当日来ていない。私たちの親会社も、面接約束の約4割が当日不参加という現実からのスタートでした。日程を先に延ばすほど、来ない確率は上がります。このあたりの原因と手当ては応募が面接につながらない会社の共通点にまとめています。

③はあるのに④・⑤が空欄なら:面接から入社までの問題

面接には来たのに内定に至っていないなら、面接での見極めと口説き方を見直します。内定は出したのに初出勤日が空欄なら、内定後の連絡が途切れています。内定から初出勤までの間に一度も連絡がないと、その間に他社で決まってしまうことは珍しくありません。

さらに、空欄の数はお金の計算にも使えます。例えば広告費10万円で面接に来たのが2人なら、面接1回あたり5万円かかっている計算です。同じ広告費でも、電話のつながる割合と面接に来る割合を上げれば、この単価は下がります。つまり記録は、広告費の使い方を見直す土台にもなるのです。

記録を続けるコツと、エクセルを卒業する目安

記録は始めるより、続けるほうが難しいものです。三日坊主で終わらせないためのコツは四つあります。

続けるコツは「人・時・形」を決めること

一つ目、書く人を一人に決める。応募の電話を受ける人が書くのが一番です。二つ目、書くタイミングは「電話を切った直後」。あとでまとめて書こうとすると、必ず抜けます。三つ目、完璧を目指さない。分からない欄は空欄のままでいい。空欄も立派な情報です。四つ目、週に一度、5分だけ表を見返す時間を決める。月末にまとめて見るより、週に一度の小さな振り返りのほうが長続きします。

エクセルを卒業する合図

エクセルのままでいいか、仕組みに移るかの目安
まだエクセル(紙)で十分
  • 月の応募が数人〜十数人
  • 応募対応する人が1人
  • 使っている求人媒体が1〜2つ
仕組みに移る合図が出ている
  • 月の応募が数十人を超えた
  • 担当が2人以上になり、連絡漏れや二重連絡が出た
  • 媒体が増えて、転記が追いつかない

月の応募が数十人を超え、担当者が2人以上になると、エクセルは同時編集のぶつかり合いや連絡漏れでほころび始めます。そこが専用の管理の仕組みに移るタイミングです。ただし、順番を間違えないでください。道具を変える前に、まず記録の習慣。記録のない会社が道具だけ入れても、空の管理画面が増えるだけです。逆に、5つの日付を書く習慣がある会社なら、どんな道具に移ってもすぐに使いこなせます。

よくある質問

Q. パソコンが苦手です。紙のノートでもいいですか?

構いません。大事なのは道具ではなく、1人1行・5つの日付という「形」です。ノートに線を引いて表を作れば、それで十分に機能します。月末に電卓で数を数えられれば、エクセルと同じ振り返りができます。

Q. 過去の応募者もさかのぼって入力すべきですか?

無理にさかのぼる必要はありません。記憶を頼りに埋めた数字は正確でないことが多く、かえって判断を狂わせます。「今日以降の応募者から全員書く」で始めるのがおすすめです。数か月たてば、十分に見るに値する表になります。

Q. 応募が月に2〜3人しかありません。それでも記録する意味はありますか?

あります。応募が少ない会社ほど、一人を落とした損が大きいからです。また、月に数人でも、数か月分たまれば「どの求人から来た人が残っているか」「どこで消えているか」の傾向は見えてきます。応募の数そのものを増やしたい場合は、記録で現状をつかんでから手を打つほうが、無駄がありません。

Q. 応募者の個人情報の扱いで気をつけることはありますか?

応募者の情報は、採用選考という目的の範囲で使い、選考が終わって不要になったものは適切に処分するのが原則とされています。また、厚生労働省の「公正な採用選考」の考え方では、応募者の適性と能力に関係のない事項を把握しないことが求められています。記録に残すのも、選考に必要な事実(日付・応募経路・連絡の履歴など)にとどめておくのが安心です。

Q. 不採用にした人や、途中で連絡が取れなくなった人の行は消していいですか?

消さずに残しておくことをおすすめします。「どこまで進んで消えたか」こそが、翌月の改善のもとになる情報だからです。行を消してしまうと、採用できた人の記録だけが残り、肝心の「落とした場所」が見えなくなります。

Q. 記録した表は、誰が見るべきですか?

書くのは現場の担当者でいいのですが、月に一度は経営者ご自身が見てください。広告費をどこにかけるか、面接のやり方を変えるかといった判断は、担当者ではなく経営者の仕事だからです。月末に5分、担当者と一緒に表を眺めて「今月はどこで人が消えたか」を一言で確認する。それだけで、採用の会話が「なんとなく」から「数字」に変わります。

まとめ

エクセル管理の限界は、入力の手間ではなく「振り返れないこと」にあります。そして振り返りに必要なのは、高価な道具ではなく、1人1行・5つの日付というかんたんな記録の習慣です。空欄になった場所が、あなたの会社が人を落としている場所。そこさえ分かれば、打つ手は具体的になります。

今日できる次の一歩は、ノートかエクセルに5つの日付の欄を作り、次の応募者から書き始めることです。たまった数字の見方、特に採用単価の計算のしかたは警備員の採用単価の計算方法と下げ方で解説しています。あわせてお読みください。

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