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応募が増える時期・減る時期——警備採用の1年の考え方

集める採用単価・お金

2026年8月26日|はやぶさ採用編集部

「人が足りなくなってから求人を出す」。多くの警備会社が、この繰り返しの中にいます。繁忙期の直前に慌てて募集をかけ、応募が集まらないまま現場が始まり、今いる隊員に連勤をお願いする。毎年同じ苦労をしている、という会社は少なくありません。

ただ、警備の仕事には季節のリズムがあり、採用にも波があります。工事が動く時期、祭りやイベントが集中する時期、そして応募者が仕事を探し始める時期。この波を知って先回りするだけで、毎年の「急に人が足りない」はかなり減らせます。

この記事では、警備の採用を「1年」という単位でとらえ直し、いつ・何をすればよいかを整理します。特別な道具はいりません。過去の受注記録とカレンダーがあれば、今日から始められます。

この記事の要点
  • 現場が増える時期は、過去の受注を振り返ればかなり予測できる
  • 採用は「必要になる日」ではなく「現場に立てる日」から逆算し、1〜2か月前に動き始める
  • 閑散期は休む時期ではなく、求人票を磨き、記録を整える「仕込みの時期」
  • 時期の波に頼りすぎず、応募対応の速さなど通年の土台も一緒に固める

需要の波:現場が増える時期を先に押さえる

まず見るべきは、応募者の動きではなく自社の現場の動きです。交通誘導なら道路工事が動く時期、雑踏警備なら地域の祭りや花火大会、初詣などの行事が集中する時期、施設警備でも契約の切り替わりや改修工事にともなう臨時の警備需要が動く時期——現場が増えるタイミングは、業務の種類ごとにある程度決まっています。

やることは簡単です。過去2〜3年の受注を、月ごとに書き出してみてください。「何月に、どんな現場が、何件・何人分あったか」を並べるだけです。手書きのノートでも構いません。やってみると、「感覚では夏が忙しいと思っていたが、記録を見ると春の工事の方が人手を食っていた」といった、感覚と記録のずれが見つかることがよくあります。

こうしてできた月別の一覧が、あなたの会社の繁忙期カレンダーです。人が必要になる時期は、外の統計を調べるより先に、自社の記録からかなり正確に予測できます。ここが1年の採用計画の出発点になります。

元請け・取引先の予定も聞いておく

過去の記録に加えて、元請けや取引先に「来期の工事や行事の予定」を早めに聞いておくと、カレンダーの精度が上がります。発注が正式に決まる前でも、「春先に大きい現場が動きそうだ」と分かっていれば、採用の準備は始められます。営業の雑談が、そのまま採用の情報収集になるのです。

採用の波:応募する側にも都合がある

次に、応募する側の動きです。応募者にもリズムがあります。年度替わりの転職、長期休み明けの仕事探し、年末に向けた働き口探し。「ボーナスをもらってから動く人が多い」ともよく言われます。ただし、こうした細かい波は地域や年、募集する層によって変わるので、この記事では断定しません。「この月に出せば必ず応募が来る」という魔法の時期はない、と考えておく方が安全です。

それでも、大事な原則はひとつあります。応募が動く時期に、求人が整った状態で待っていることです。応募者は複数の求人を見比べてから動きます。マイナビの転職動向調査2024年版によると、転職した人は平均8.8社に応募し、面接に進むのは3.6社。つまりあなたの求人は、出した瞬間から他社と比べられています。慌てて出した求人より、前から磨き込んである求人の方が選ばれやすいのは、当然のことです。

「時期を読む」ことより、「どの時期に波が来ても受け止められる状態にしておく」こと。応募の波は自分では動かせませんが、受け皿の準備は自分で決められます。

もうひとつ付け加えると、応募が少ない時期の応募者を軽く見ないことです。周りの会社が募集をゆるめている時期に動いている人は、それだけ働く意思がはっきりしている人かもしれません。応募が少ない時期こそ、1件1件をていねいに拾う価値があります。

「必要になる1〜2か月前」から動く

繁忙期から逆算する採用の段取り
2か月前
求人票を見直し、募集を開始
1か月前
面接・内定・新任教育を進める
繁忙期
教育済みの隊員が現場に立つ

警備業には新任教育があるため、採用が決まってもすぐには現場に立てません。応募を待つ時間、面接の日程調整、内定から入社までの間、そして教育の時間。ひとつひとつは数日でも、足し合わせると1〜2か月は簡単に過ぎます。つまり「足りなくなってから募集」では、構造的に間に合わないのです。

だから逆算の起点は、現場が増える日ではなく現場に立てる日に置きます。「4月から現場が増えるなら、2月には募集を始める」。この一段の先回りが、繁忙期の綱渡りをなくします。カレンダーに書くときも「4月:現場増」とだけ書くのではなく、「2月1日:募集開始」「3月中旬まで:面接と内定」「3月下旬:新任教育」と、途中の予定まで書き込んでおくと、遅れにすぐ気づけます。

先回りには、もうひとつ良いことがあります。時間の余裕があると、応募者を「来てくれるなら誰でも」ではなく「うちに合うか」で選べることです。焦って採った人ほど早く辞めてしまう、という経験は多くの経営者がお持ちのはずです。早く動くことは、採用の量だけでなく質も守ってくれます。なお、内定を出してから初出勤までの間に人が消えてしまう問題は別の記事警備業の新任教育と初出勤までに人が消える理由で詳しく書いています。先回りして採っても、つなぎ方を間違えると水の泡になるので、あわせてお読みください。

閑散期は「仕込みの時期」と決める

波を前提にすると、閑散期の意味が変わります。応募も現場も落ち着く時期は、採用を止める時期ではなく、次の波に向けた仕込みの時期です。繁忙期の直前は忙しくて手が回らない作業を、ここでやっておきます。

仕込み①:求人票を磨き直す

給与や手当の表記は今の実態と合っているか。仕事内容は未経験の人が読んで想像できるか。誰に来てほしいのか(シニアか、女性か、若手か)がぼやけていないか。落ち着いて直せるのは閑散期だけです。書き方の具体的な考え方はシニア・女性・若手に届く求人票の書き方にまとめています。

仕込み②:記録を整える

去年の採用の記録を振り返ります。どの媒体からいくら掛けて何人応募が来たか。面接に何人来て、何人採用できたか。この記録があると、次の繁忙期に「どこに求人費を使うか」を勘ではなく数字で決められます。例えば、ある媒体に広告費10万円を使って応募が5人なら、応募1人あたり2万円。別の媒体が5万円で応募1人なら5万円。こうして並べるだけで、来年どちらに力を入れるべきかが見えてきます(数字はあくまで説明のための架空の例です)。媒体ごとの向き不向きは警備の求人はどこに出すべきかも参考になります。

仕込み③:受け入れの準備

制服のサイズ在庫、新任教育の日程の型、初日の受け入れ手順。採用してから慌てて用意するものを、先に揃えておきます。地味ですが、入社直後の印象を左右する部分です。

年間採用カレンダーの作り方(5つの手順)

ここまでの話を、1枚のカレンダーに落とし込みます。手順は5つです。

手順1:過去の受注を月別に書き出す。過去2〜3年分の現場を月ごとに並べ、人手が足りなかった月に印を付けます。

手順2:募集開始日を決める。繁忙期の始まりから2か月さかのぼった日を「募集を始める日」としてカレンダーに書き込みます。ここが年間で一番大事な日付です。

手順3:閑散期に仕込みを割り当てる。求人票の見直し・記録の整理・受け入れ準備を、手の空く月に予定として入れてしまいます。「時間ができたらやる」は、やらないのと同じです。

手順4:通年の土台を決める。応募への折り返し電話は誰が何分以内にやるか、面接前日の連絡は誰の役目か。時期に関係なく効く動きを決めておきます。私たちの親会社の警備会社では、応募から13分で初回電話をかける体制を作ってから応募の取りこぼしが大きく減りました。波が来ても、受け損ねたら意味がありません。

手順5:年に1回見直す。今年の実績を書き足し、来年のカレンダーを更新します。2年目からは精度がぐっと上がります。

後追い採用と先回り採用の違い
後追い採用(足りなくなってから)
・慌てて求人を出すので内容が粗い
・教育が間に合わず現場に穴が出る
・今いる隊員に連勤のしわ寄せ
・焦って採るのでミスマッチも増える
先回り採用(2か月前から)
・磨いた求人で落ち着いて募集できる
・教育を済ませて繁忙期を迎えられる
・隊員の負担が偏らず定着にも良い
・比べて選べるので採用の質が上がる

よくある質問

Q. もう繁忙期の直前です。今からできることはありますか?

あります。まず今いる隊員への声かけです。知り合いの紹介は、広告より早く動くことがあります。並行して、求人の応募への対応速度を上げてください。折り返しが早いだけで、同じ応募数でも面接に進む人は増えます。そして今回の反省を記録に残し、来年は2か月前から動く。それが一番の対策です。

Q. 閑散期に採用すると、人件費が無駄になりませんか?

繁忙期の頭数を全部先に抱える必要はありません。閑散期にやるのは「採用の仕込み」であって、大量採用ではないからです。求人票・記録・受け入れ準備を整えておき、募集そのものは繁忙期の2か月前から。教育期間を確保しつつ、抱える期間は最小限にできます。

Q. 結局、応募が増えるのは何月なんですか?

正直にお答えすると、全国共通で「この月」と言い切れるものはありません。地域・年・募集する層で波は変わります。一番あてになるのは、あなたの会社の過去の応募記録です。去年・一昨年に応募が動いた月を書き出せば、それが自社にとっての「応募が増えやすい時期」になります。

Q. 求人は年中出しっぱなしと、時期を絞るのと、どちらが良いですか?

無料で出せる媒体(ハローワークや自社の採用ページなど)は年中出しておき、お金の掛かる広告は繁忙期前に集中させる、という組み合わせが考え方としては素直です。出しっぱなしの求人も、内容が古いままだと逆効果なので、閑散期の見直しとセットにしてください。

Q. 波を読んでも、そもそも応募が来ません。

時期の問題ではなく、求人の中身や出し先、応募後の対応に原因がある可能性が高いです。時期は「掛け算の一要素」にすぎず、元の求人力がゼロなら何を掛けてもゼロのままです。求人票・媒体・対応速度の順に見直してみてください。

まとめ

警備の採用は、1年のリズムで考えると景色が変わります。やることは3つ。①自社の繁忙期を過去の受注から書き出す ②繁忙期の2か月前から採用を動かす ③閑散期は求人磨きと記録の整備に充てる。これだけで、毎年の「急に人が足りない」はかなり減らせます。

次の一歩は、過去2〜3年の受注を月別に書き出すこと。今日、ノート1ページでできます。そこに「募集を始める日」を書き込めば、あなたの会社の年間採用カレンダーの第1版が完成です。まずはそこから始めてみてください。

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